あまり一般的ではありませんが、花粉症治療薬として抗生物質を用いる医師がいる事、また応急処置として使用した結果急激な効果があり、症状が改善した例や、処置を施したことによってその年は花粉症の症状が全く出なかったというお話を、インターネットやツイッターで耳にすることがあります。花粉症に対して抗生物質を使用するというのは、正しい使用方法なのでしょうか。また、そもそも抗生物質は花粉症に対して効果があるものなのでしょうか。
花粉症は、空気中に飛散する花粉を吸いこみ、粘膜に吸着させることにより引き起こされる免疫作用によるもので、花粉を、病原菌や毒素と同じように異物として排除しようとして起こる現象です。従って、応急処置としての効果がある花粉症治療薬として一般的なものは、例えば抗ヒスタミン薬と呼ばれる治療薬で、情報伝達機能を持つヒスタミンが、組織や神経の受容体と結合し、異物の存在を認識してアレルギー反応を起こす前に、受容体の方を先にブロックしてしまうというものです。一方、抗生物質は微生物が生み出す、病原菌などの、他の微生物の生体細胞の増殖や機能を阻害する物質であり、花粉そのものを除去するものではないので、本来花粉症に対して直接効果を発現するとは考えにくいと思われます。実際に抗生物質を使用した事により、突然花粉症を発症したというお話もあります。また、ステロイド剤にはアレルギーを抑制する働きがあることが知られており、良く抗生物質と混同されますが、別の範疇のものです。免疫力そのものを低下させる作用を持つため、効果はあっても副作用の恐れがあります。
いずれにせよ、花粉症治療薬としての抗生物質の使用は、本来の目的とは異なり、効果を発揮する明確な根拠はありません。応急処置に限定するとしても全ての人に効果があるものではないと認識すべきです。